- 不動産鑑定士試験の勉強において、欠かせない考え方
- 不動産の価格の特徴
- 不動産の種類
- 宅地の類型
- 建物およびその敷地の類型
- 価格形成要因
- 地域要因
- 個別的要因
- 最有効使用の原則
- 均衡の原則
- 適合の原則
- 対象不動産の確定
- 価格時点
- 正常価格
- 限定価格
- 特定価格
- 地域分析
- 標準的使用
- 地域分析における市場分析
- 個別分析
- 最有効使用の判定にあたっての留意点
- 取引事例の選択について
- 原価法
- 再調達原価
- 減価修正の目的
- 取引事例比較法
- 収益還元法
- 収益価格を求める方法
- 更地の鑑定評価
- 更地評価から開発法の流れ
- 建付地の鑑定評価方針
- 底地の鑑定評価
- 自用の建物及びその敷地の鑑定評価
- 貸家及びその敷地
- 「借地権」と「借地権付建物」
- 「区分所有建物及びその敷地」
- 第8章「鑑定評価手順」
不動産鑑定士試験の勉強において、欠かせない考え方
鑑定理論の論文試験において、不動産鑑定評価基準の全てを暗記しないと、合格できないと考えている人が結構います。
それは間違っています。
最近の不動産鑑定士試験の合格者は、実は、不動産鑑定評価基準を全て暗記していません。
不動産鑑定評価基準を順位付けして、必要な基準だけ暗記しています。
ちなみに、必要な基準だけの暗記を確実にすることで、短答式において他の受験生が正解するのに、自分だけが間違うということもぐっと減ります。
私自身もうすうす感じていたのですが、今回は最近の合格者8名に、合格に暗記が必要な基準を選定してもらい、このページに記載した基準が確実に暗記すべきものであると結論づけました。
過去問を読み込んだり、答練を受け進めると、どの基準が重要か分からなくなり、闇くもに不要な部分を暗記したり、逆に得意な範囲だけ何度も暗記したりと、無駄な勉強を進めてしまいがちです。
不動産鑑定士試験の勉強法を良く聞かれるのですが、勉強方法は一言では語れません。
ただ、不動産鑑定士試験の勉強において欠かせない考えは、全ての基準を暗記せずに、必要な基準だけを確実に暗記するという考えです。
全て暗記するのは無理です。このページに記載した36個の基準を何度も回してください。
36個の基準暗記シートは、↓のリンクになります。
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不動産の価格の特徴
(1)不動産の経済価値は、一般に、交換の対価である価格として表示されるとともに、その用益の対価である賃料として表示される。そして、この価格と賃料との間には、いわゆる元本と果実との間に認められる相関関係を認めることができる。
(2)不動産の価格(又は賃料)は、その不動産に関する所有権、賃借権等の権利の対価又は経済的利益の対価であり、また、二つ以上の権利利益が同一の不動産の上に存する場合には、それぞれの権利利益について、その価格(又は賃料)が形成され得る。
(3)不動産の属する地域は固定的なものではなくて、常に拡大縮小、集中拡散、発展 衰退等の変化の過程にあるものであるから、不動産の利用形態が最適なものである かどうか、仮に現在最適なものであっても、時の経過に伴ってこれを持続できるかどうか、これらは常に検討されなければならない。したがって、不動産の価格(又は賃料)は、通常、過去と将来とにわたる長期的な考慮の下に形成される。今日の 価格(又は賃料)は、昨日の展開であり、明日を反映するものであって常に変化の過程にあるものである。
(4)不動産の現実の取引価格等は、取引等の必要に応じて個別的に形成されるのが通常であり、しかもそれは個別的な事情に左右されがちのものであって、このような 取引価格等から不動産の適正な価格を見出すことは一般の人には非常に困難であ る。したがって、不動産の適正な価格については専門家としての不動産鑑定士の鑑定評価活動が必要となるものである。
第1章においては、不動産鑑定士の責務に目がいきがちですが、不動産鑑定士の責務は10回くらい読んで雰囲気をつかんでおけばよいのでは思います。価格の特徴を暗記しておいたほうが、他論点の補足として論文に厚みをもたせることができます。
不動産の種類
不動産の種別とは、不動産の用途に関して区分される不動産の分類をいい、不動産の類型とは、その有形的利用及び権利関係の態様に応じて区分される不動産の分類をいう。
これはマストです。一字一句を書けるようになってください。
宅地の類型
宅地の類型は、その有形的利用及び権利関係の態様に応じて、更地、建付地、借地権、底地、区分地上権等に分けられる。
更地とは、建物等の定着物がなく、かつ、使用収益を制約する権利の付着していない宅地をいう。
建付地とは、建物等の用に供されている敷地で建物等及びその敷地が同一の所有者に属している宅地をいう。
借地権とは、借地借家法(廃止前の借地法を含む。)に基づく借地権(建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権)をいう。
底地とは、宅地について借地権の付着している場合における当該宅地の所有権をいう。
区分地上権とは、工作物を所有するため、地下又は空間に上下の範囲を定めて設定された地上権をいう。
更地は最有効使用を前提と覚える。建付地と借地権は、現況建物があることや契約があることを前提として考えるため、それぞれ減価の可能性があることを覚える。短答式試験で雰囲気はつかんでいると思いますので、論文では書けるようにレベルアップしておきましょう。
建物およびその敷地の類型
建物及びその敷地の類型は、その有形的利用及び権利関係の態様に応じて、自用の建物及びその敷地、貸家及びその敷地、借地権付建物、区分所有建物及びその敷地等に分けられる。
自用の建物及びその敷地とは、建物所有者とその敷地の所有者とが同一人であり、その所有者による使用収益を制約する権利の付着していない場合における当該建物及びその敷地をいう。
貸家及びその敷地とは、建物所有者とその敷地の所有者とが同一人であるが、建物が賃貸借に供されている場合における当該建物及びその敷地をいう。
借地権付建物とは、借地権を権原とする建物が存する場合における当該建物及び借地権をいう。
区分所有建物及びその敷地とは、建物の区分所有等に関する法律第2条第3項に規定する専有部分並びに当該専有部分に係る同条第4項に規定する共用部分の共有持分及び同条第6項に規定する敷地利用権をいう。
ここも短答式試験で雰囲気はつかんでいると思います。やや暗記しづらいですが、論文では書けるようにレベルアップしておきましょう。
価格形成要因
不動産の価格を形成する要因(以下「価格形成要因」という。)とは、不動産の効用及び相対的稀少性並びに不動産に対する有効需要の三者に影響を与える要因をいう。
不動産の価格は、多数の要因の相互作用の結果として形成されるものであるが、要因それ自体も常に変動する傾向を持っている。したがって、不動産の鑑定評価を行うに当たっては、価格形成要因を市場参加者の観点から明確に把握し、かつ、その推移及び動向並びに諸要因間の相互関係を十分に分析して、前記三者に及ぼすその影響を判定することが必要である。
価格形成要因は、一般的要因、地域要因及び個別的要因に分けられる。
短答式試験では、「不動産の効用」「相対的希少性」「不動産に対する有効需要」の3つに影響を与える要因であることと、価格形成要因は「一般的要因」「地域要因」「個別的要因」の3つであることを覚えるのはマストで、価格形成要因を「市場参加者」の観点から明確に把握することが分かれば平均以上かと思います。
ただ、論文試験ではこのフレーズを書けないと、第4章や第6章への論点につなぎとしての記載が唐突感がでてしまいます。内容は覚えやすい箇所と思いますので、暗記の戦いです。
地域要因
地域要因とは、一般的要因の相関結合によって規模、構成の内容、機能等にわたる各地域の特性を形成し、その地域に属する不動産の価格の形成に全般的な影響を与える要因をいう。
個別的要因
個別的要因とは、不動産に個別性を生じさせ、その価格を個別的に形成する要因をいう。
一字一句を書けて、初めて勝負ができます。
最有効使用の原則
不動産の価格は、その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用(以下「最有効使用」という。)を前提として把握される価格を標準として形成される。この場合の最有効使用は、現実の社会経済情勢の下で客観的にみて、良識と通常の使用能力を持つ人による合理的かつ合法的な最高最善の使用方法に基づくものである。
これは本気マストです。一字一句を書けて、初めて勝負ができます。
均衡の原則
不動産の収益性又は快適性が最高度に発揮されるためには、その構成要素の組合せが均衡を得ていることが必要である。したがって、不動産の最有効使用を判定するためには、この均衡を得ているかどうかを分析することが必要である
均衡の原則は、最有効使用の判定にあたり重要な指針となるものです。内部構成要素の均衡状態、すなわち、建物とその敷地がフィットしているかどうかを分析する必要があります。
適合の原則
不動産の収益性又は快適性が最高度に発揮されるためには、当該不動産がその環境に適合していることが必要である。したがって、不動産の最有効使用を判定するためには、当該不動産が環境に適合しているかどうかを分析することが必要である。
適合の原則は、最有効使用の判定にあたり重要な指針となるものです。外部環境との適合状態、すなわち、建物と周りの環境がフィットしているかどうかを分析する必要があります。
対象不動産の確定
不動産の鑑定評価を行うに当たっては、まず、鑑定評価の対象となる土地又は建物等を物的に確定することのみならず、鑑定評価の対象となる所有権及び所有権以外の権利を確定する必要がある。対象不動産の確定は、鑑定評価の対象を明確に他の不動産と区別し、特定することであり、それは不動産鑑定士が鑑定評価の依頼目的及び条件に照応する対象不動産と当該不動産の現実の利用状況とを照合して確認するという実践行為を経て最終的に確定されるべきものである
不動産の自然的特性と人文的特性から用途の多様性があり、一体化したり分割したりと可変的であること、また権利関係も複雑であることを上手く述べながら、対象不動産の確定が必要であることを、暗記した定義を用いて記載するとよいです。
価格時点
価格形成要因は、時の経過により変動するものであるから、不動産の価格はその判定の基準となった日においてのみ妥当するものである。したがって、不動産の鑑定評価を行うに当たっては、不動産の価格の判定の基準日を確定する必要があり、この日を価格時点という。また、賃料の価格時点は、賃料の算定の期間の収益性を反映するものとしてその期間の期首となる。 価格時点は、鑑定評価を行った年月日を基準として現在の場合(現在時点)、過去の場合(過去時点)及び将来の場合(将来時点)に分けられる。
論文の厚みをもたせたい、文字数を稼ぎたいときには「変動の原則」を語ってから、価格時点を記載していきます。
過去時点の鑑定評価は対象不動産の確認等が可能で、要因資料・事例資料の収集が可能なときのみOKであること。将来時点の鑑定評価は諸々が全て想定であり、資料も鑑定評価時点までのものに限られ、不確実だからNGであること。
これらを理解できて、価格時点の基準をきちんと書ければ、勝負できます。
正常価格
正常価格とは、市場性を有する不動産について、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適 正な価格をいう。
これは本気マストです。一字一句を書けて、初めて勝負ができます。
限定価格
限定価格とは、市場性を有する不動産について、不動産と取得する他の不動産との併合又は不動産の一部を取得する際の分割等に基づき正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離することにより、市場が相対的に限定される場合における取得部分の当該市場限定に基づく市場価値を適正に表示する価格をいう。 限定価格を求める場合を例示すれば、次のとおりである。 (1)借地権者が底地の併合を目的とする売買に関連する場合 (2)隣接不動産の併合を目的とする売買に関連する場合 (3)経済合理性に反する不動産の分割を前提とする売買に関連する場合
これは非常に暗記しづらかったです。2018年で出題されているので、2019年では出題されないと思いますが、正常価格、限定価格、特定価格は暗記すべき基準になります。
特定価格
特定価格とは、市場性を有する不動産について、法令等による社会的要請を背景とする鑑定評価目的の下で、正常価格の前提となる諸条件を満たさないことに より正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離することとなる場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格をいう。 特定価格を求める場合を例示すれば、次のとおりである。 (1)各論第 3 章第 1 節に規定する証券化対象不動産に係る鑑定評価目的の下で、投資家に示すための投資採算価値を表す価格を求める場合 (2)民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で、早期売却を前提とした価格を求める場合 (3)会社更生法又は民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で、事業の継続を前提とした価格を求める場合
証券化対象不動産の記述においても記載する必要があるため、正常価格と同様にマストです。
地域分析
地域分析とは、その対象不動産がどのような地域に存するか、その地域はどのような特性を有するか、また、対象不動産に係る市場はどのような特性を有するか、及びそれらの特性はその地域内の不動産の利用形態と価格形成について全般的にどのような影響力を持っているかを分析し、判定することをいう。
不動産の属する地域では、その地域の特性に応じて価格水準が形成されます。その地域に属する個別の不動産は、その地域の価格水準という範囲のもとで価格が個別的に形成されます。
標準的使用
近隣地域の特性は、通常、その地域に属する不動産の一般的な標準的使用に具体的に現れるが、この標準的使用は、利用形態からみた地域相互間の相対的位置関係及び価格形成を明らかにする手掛りとなるとともに、その地域に属する不動産のそれぞれについての最有効使用を判定する有力な標準となるものである。
地域分析に当たって特に重要な地域は、用途的観点から区分される地域(用途的地域)、すなわち近隣地域及びその類似地域と、近隣地域及びこれと相関関係にある類似地域を含むより広域的な地域、すなわち同一需給圏 である、と語ってから標準的使用を語れると答案としてはスマートです。
ただ最初のうちは、 地域分析に当たって特に重要な地域は、近隣地域と類似地域と同一需給圏である、と3つが重要だと覚えてからでもよいと思います。
地域分析における市場分析
地域分析における対象不動産に係る市場の特性の把握に当たっては、同一需給圏における市場参加者がどのような属性を有しており、どのような観点から不動産の利用形態を選択し、価格形成要因についての判断を行っているかを的確に把握することが重要である。あわせて同一需給圏における市場の需給動向を的確に把握する必要がある。また、把握した市場の特性については、近隣地域における標準的使用の判定に 反映させるとともに鑑定評価の手法の適用、試算価格又は試算賃料の調整等における各種の判断においても反映すべきである。
市場参加者が不動産の利用形態や価格形成に大きな役割を果たしていることから、市場参加者の視点、すなわち需要者の重視する要因を分析するということが重要になってきます。
また、短答式でも出てきそうですが、市場分析の結果は、鑑定評価の手法の適用、試算価格又は試算賃料の調整等における各種の判断においても反映すべきということも書けるようになっておきましょう。
個別分析
不動産の価格は、その不動産の最有効使用を前提として把握される価格を標準として形成されるものであるから、不動産の鑑定評価に当たっては、対象不動産の最有効使用を判定する必要がある。個別分析とは、対象不動産の個別的要因が対象不動産の利用形態と価格形成についてどのような影響力を持っているかを分析してその最有効使用を判定することをいう。
個別分析については、確実な暗記が必要です。マストです。
最有効使用の判定にあたっての留意点
不動産の最有効使用の判定に当たっては、次の事項に留意すべきである。 (1)良識と通常の使用能力を持つ人が採用するであろうと考えられる使用方法であること。 (2)使用収益が将来相当の期間にわたって持続し得る使用方法であること。 (3)効用を十分に発揮し得る時点が予測し得ない将来でないこと。 (4)個々の不動産の最有効使用は、一般に近隣地域の地域の特性の制約下にあるので、個別分析に当たっては、特に近隣地域に存する不動産の標準的使用との相互関係を明らかにし判定することが必要であるが、対象不動産の位置、規模、環境等によっては、標準的使用の用途と異なる用途の可能性が考えられるので、こうした場合には、それぞれの用途に対応した個別的要因の分析を行った上で 最有効使用を判定すること。 (5)価格形成要因は常に変動の過程にあることを踏まえ、特に価格形成に影響を与える地域要因の変動が客観的に予測される場合には、当該変動に伴い対象不動産の使用方法が変化する可能性があることを勘案して最有効使用を判定すること。
80%くらいは書けるようにしつつ、(1)~(5)の流れを押さえておくようにしてください。合格者もフルで書くのは厳しいと思いますが、(1)~(5)の順番と80%レベルでの書きっぷりは合格には必要です。
取引事例の選択について
取引事例等は、次の要件の全部を備えるもののうちから選択するものとする。
(1)次の不動産に係るものであること
⓵近隣地域又は同一需給圏内の類似地域若しくは必要やむを得ない場合には 近隣地域の周辺の地域(以下「同一需給圏内の類似地域等」という。)に存する不動産
⓶対象不動産の最有効使用が標準的使用と異なる場合等において同一需給圏内に存し対象不動産と代替、競争等の関係が成立していると認められる不動産(以下「同一需給圏内の代替競争不動産」という。)。
(2)取引事例等に係る取引等の事情が正常なものと認められるものであること又は正常なものに補正することができるものであること。
(3)時点修正をすることが可能なものであること。
(4)地域要因の比較及び個別的要因の比較が可能なものであること。
取引事例比較法の「事例の収集及び選択」の記載もほぼ同じです。「事例の収集及び選択」で覚えてもよいかもしれません。
原価法
原価法は、価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の試算価格を求める手法である(この手法による試算価格を積算価格という。)。 原価法は、対象不動産が建物又は建物及びその敷地である場合において、再調達原価の把握及び減価修正を適切に行うことができるときに有効であり、対象不動産が土地のみである場合においても、再調達原価を適切に求めることができるときはこの手法を適用することができる。
原価法の定義は一字一句マストです。原価法の定義をきちんと記載した後に原価法の有効な場合を書いておくと、論文に厚みが出てきますが、有効な場合の記載は80%レベルの記載で十分です。
短答式でも出題される箇所でもあるので、確実に理解していきましょう。
再調達原価
再調達原価とは、対象不動産を価格時点において再調達することを想定した場合において必要とされる適正な原価の総額をいう。
原価法の定義は一字一句マストです。
減価修正の目的
減価修正の目的は、減価の要因に基づき発生した減価額を対象不動産の再調達原価から控除して価格時点における対象不動産の適正な積算価格を求めることである。
答練でも、慌てて「減価修正」を「原価修正」と記載する受験生も意外と多いです。一字一句マストです。
取引事例比較法
取引事例比較法は、まず多数の取引事例を収集して適切な事例の選択を行い、これらに係る取引価格に必要に応じて事情補正及び時点修正を行い、かつ、地域要因の比較及び個別的要因の比較を行って求められた価格を比較考量し、これによって対象不動産の試算価格を求める手法である(この手法による試算価格を比準価格という。)。
収益還元法
収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格を求める手法である(この手法による試算価格を収益価格という。)
収益価格を求める方法
収益価格を求める方法には、一期間の純収益を還元利回りによって還元する方法(以下「直接還元法」という。)と、連続する複数の期間に発生する純収益及び復帰価格を、その発生時期に応じて現在価値に割り引き、それぞれを合計する方法(Discounted Cash Flow法(以下「DCF法」という。))がある。 (1)直接還元法 (2)DCF法
更地の鑑定評価
更地の鑑定評価額は、更地並びに配分法が適用できる場合における建物及びその敷地の取引事例に基づく比準価格並びに土地残余法による収益価格を関連づけて決定するものとする。再調達原価が把握できる場合には、積算価格をも関連づけて決定すべきである。
更地は、建物がなく、何かしらの権利もなく、最有効使用に基づく経済的利益を十分に享受することを期待できます。そのため更地の鑑定評価にあたっては、最有効使用を前提とした価格を求めることができることを、基準に合わせて記載していきます。
更地評価から開発法の流れ
当該更地の面積が近隣地域の標準的な土地の面積に比べて大きい場合等においては、さらに次に掲げる価格を比較考量して決定するものとする(この手法を開発法という。) (1)一体利用をすることが合理的と認められるときは、価格時点において、当該更地に最有効使用の建物が建築されることを想定し、販売総額から通常の建物建築費相当額及び発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を控除して得た価格 (2)分割利用をすることが合理的と認められるときは、価格時点において、当該更地を区画割りして、標準的な宅地とすることを想定し、販売総額から通常の造成費相当額及び発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を控除して得た価格
建付地の鑑定評価方針
建付地の鑑定評価額は、更地の価格をもとに当該建付地の更地としての最有効使用との格差、更地化の難易の程度等敷地と建物等との関連性を考慮して求めた価格を標準とし、配分法に基づく比準価格及び土地残余法による収益価格を比較考量して決定するものとする。ただし、建物及びその敷地としての価格(以下「複合不動産価格」という。)をもとに敷地に帰属する額を配分して求めた価格を標準として決定することもできる。
建付地がらみの問題が出題されたときは、建付地とは何であるか、建物等の用に供されている敷地で、建物等及びその敷地が同一の所有者に属している宅地であることを必ず記載します。
問題によっては、最有効使用の観点から建物取り壊しが妥当と判定される場合は、建付地の鑑定評価はできないということが結論になる場合もあるので、注意しておいてください。短答式試験でも出ますね。
底地の鑑定評価
借地権設定者に帰属する経済的利益とは、当該宅地の実際支払賃料から諸経費等を控除した部分の賃貸借等の期間に対応する経済的利益及びその期間の満了等によって復帰する経済的利益の現在価値をいう。
なお、将来において一時金の授受が見込まれる場合には、当該一時金の経済的利益も借地権設定者に帰属する経済的利益を構成する場合があることに留意すべきである。
底地の鑑定評価額は、実際支払賃料に基づく純収益等の現在価値の総和を求めることにより得た収益価格及び比準価格を関連づけて決定するものとする。
底地の定義、「底地とは、宅地について借地権の付着している場合における当該宅地の所有権をいう」もきちんと暗記しておきましょう。
自用の建物及びその敷地の鑑定評価
自用の建物及びその敷地の鑑定評価額は、積算価格、比準価格及び収益価格を関 連づけて決定するものとする。
なお、建物の用途を変更し、又は建物の構造等を改造して使用することが最有効使用と認められる場合における自用の建物及びその敷地の鑑定評価額は、用途変更等を行った後の経済価値の上昇の程度、必要とされる改造費等を考慮して決定するものとする。
また、建物を取り壊すことが最有効使用と認められる場合における自用の建物及 びその敷地の鑑定評価額は、建物の解体による発生材料の価格から取壊し、除去、運搬等に必要な経費を控除した額を、当該敷地の最有効使用に基づく価格に加減して決定するものとする
自用の建物及びその敷地の定義、「自用の建物及びその敷地とは、建物所有者とその敷地の所有者とが同一人であり、その所有者による使用収益を制約する権利の付着していない場合における当該建物及びその敷地をいう。」もきちんと暗記しておきましょう。
貸家及びその敷地
貸家及びその敷地とは、建物所有者とその敷地の所有者とが同一人であるが、建物が賃貸借に供されている場合における当該建物及びその敷地をいう。
「自用の建物及びその敷地」は、建物所有者とその敷地の所有者とが同一人であるため、所有者による使用収益を制約する権利が付着していないため、現況の継続利用、用途変更、建物の取り壊しが自由にできますが、「貸家及びその敷地」は、建物賃借権が付着しているため、直ちに自由に使用できることができません。
「借地権」と「借地権付建物」
借地権とは、借地借家法(廃止前の借地法を含む。)に基づく借地権(建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権)をいう。 借地権付建物とは、借地権を権原とする建物が存する場合における当該建物及び借地権をいう。
「区分所有建物及びその敷地」
区分所有建物及びその敷地とは、建物の区分所有等に関する法律第2条第3項に 規定する専有部分並びに当該専有部分に係る同条第4項に規定する共用部分の共有持分及び同条第6項に規定する敷地利用権をいう。
第8章「鑑定評価手順」
第1節 鑑定評価の基本的事項の確定 第2節 依頼者、提出先等及び利害関係等の確認 第3節 処理計画の策定 第4節 対象不動産の確認 第5節 資料の収集及び整理 第6節 資料の検討及び価格形成要因の分析 第7節 鑑定評価の手法の適用 第8節 試算価格又は試算賃料の調整 第9節 鑑定評価額の決定 第10節 鑑定評価報告書の作成
手順そのものをきちんと暗記する必要があります。
もちろん、理解もですが、まずは手順を暗記しましょう。
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