必ず暗記すべき不動産鑑定評価基準 総論 第5章~第6章

総論第5章から第6章までの必ず暗記すべき不動産鑑定評価基準を選定しました。

勝負どころの第6章と第7章の基準については、合格者は確実に覚えてきます。

とはいえ、第1章から第4章でも言いましたが、私はここに記載した基準の暗記だけで、論文試験は勝負ができると思っております。働きながらでも要所をおさえ、暗記にかける時間を極力減らし、スマートに勝負していきましょう。

対象不動産の確定

不動産の鑑定評価を行うに当たっては、まず、鑑定評価の対象となる土地又は建物等を物的に確定することのみならず、鑑定評価の対象となる所有権及び所有権以外の権利を確定する必要がある。対象不動産の確定は、鑑定評価の対象を明確に他の不動産と区別し、特定することであり、それは不動産鑑定士が鑑定評価の依頼目的及び条件に照応する対象不動産と当該不動産の現実の利用状況とを照合して確認するという実践行為を経て最終的に確 定されるべきものである

不動産の自然的特性と人文的特性から用途の多様性があり、一体化したり分割したりと可変的であること、また権利関係も複雑であることを上手く述べながら、対象不動産の確定が必要であることを、暗記した定義を用いて記載するとよいです。

価格時点

価格形成要因は、時の経過により変動するものであるから、不動産の価格はその判定の基準となった日においてのみ妥当するものである。したがって、不動産の鑑定評価を行うに当たっては、不動産の価格の判定の基準日を確定する必要があり、この日を価格時点という。また、賃料の価格時点は、賃料の算定の期間の収益性を反映するものとしてその期間の期首となる。 価格時点は、鑑定評価を行った年月日を基準として現在の場合(現在時点)、過去の場合(過去時点)及び将来の場合(将来時点)に分けられる。

論文の厚みをもたせたい、文字数を稼ぎたいときには「変動の原則」を語ってから、価格時点を記載していきます。

過去時点の鑑定評価は対象不動産の確認等が可能で、要因資料・事例資料の収集が可能なときのみOKであること。将来時点の鑑定評価は諸々が全て想定であり、資料も鑑定評価時点までのものに限られ、不確実だからNGであること。

これらを理解できて、価格時点の基準をきちんと書ければ、勝負できます。

正常価格

正常価格とは、市場性を有する不動産について、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適 正な価格をいう。

これは本気マストです。一字一句を書けて、初めて勝負ができます。

限定価格

限定価格とは、市場性を有する不動産について、不動産と取得する他の不動産との併合又は不動産の一部を取得する際の分割等に基づき正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離することにより、市場が相対的に限定される場合における取得部分の当該市場限定に基づく市場価値を適正に表示する価格をいう。
限定価格を求める場合を例示すれば、次のとおりである。
(1)借地権者が底地の併合を目的とする売買に関連する場合
(2)隣接不動産の併合を目的とする売買に関連する場合
(3)経済合理性に反する不動産の分割を前提とする売買に関連する場合

これは非常に暗記しづらかったです。2018年で出題されているので、2019年では出題されないと思いますが、正常価格、限定価格、特定価格は暗記すべき基準になります。

特定価格

特定価格とは、市場性を有する不動産について、法令等による社会的要請を背景とする鑑定評価目的の下で、正常価格の前提となる諸条件を満たさないことに より正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離 することとなる場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格をいう。
特定価格を求める場合を例示すれば、次のとおりである。
(1)各論第 3 章第 1 節に規定する証券化対象不動産に係る鑑定評価目的の下で、投資家に示すための投資採算価値を表す価格を求める場合
(2)民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で、早期売却を前提とした価格を求める場合
(3)会社更生法又は民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で、事業の継続を前提とした価格を求める場合

証券化対象不動産の記述においても記載する必要があるため、正常価格と同様にマストです。

地域分析

地域分析とは、その対象不動産がどのような地域に存するか、その地域はどのような特性を有するか、また、対象不動産に係る市場はどのような特性を有するか、及びそれらの特性はその地域内の不動産の利用形態と価格形成について全般的にどのような影響力を持っているかを分析し、判定することをいう。 

不動産の属する地域では、その地域の特性に応じて価格水準が形成されます。その地域に属する個別の不動産は、その地域の価格水準という範囲のもとで価格が個別的に形成されます。

標準的使用

近隣地域の特性は、通常、その地域に属する不動産の一般的な標準的使用に具体的に現れるが、この標準的使用は、利用形態からみた地域相互間の相対的位置関係及び価格形成を明らかにする手掛りとなるとともに、その地域に属する不動産のそれぞれについての最有効使用を判定する有力な標準となるものである。

地域分析に当たって特に重要な地域は、用途的観点から区分される地域(用途的地域)、すなわち近隣地域及びその類似地域と、近隣地域及びこれと相関関係にある類似地域を含むより広域的な地域、すなわち同一需給圏 である、と語ってから標準的使用を語れると答案としてはスマートです。

ただ最初のうちは、 地域分析に当たって特に重要な地域は、近隣地域と類似地域と同一需給圏である、と3つが重要だと覚えてからでもよいと思います。

地域分析における市場分析

地域分析における対象不動産に係る市場の特性の把握に当たっては、同一需給圏における市場参加者がどのような属性を有しており、どのような観点から不動産の利用形態を選択し、価格形成要因についての判断を行っているかを的確に把握することが重要である。あわせて同一需給圏における市場の需給動向を的確に把握する必要がある。また、把握した市場の特性については、近隣地域における標準的使用の判定に 反映させるとともに鑑定評価の手法の適用、試算価格又は試算賃料の調整等における各種の判断においても反映すべきである。

市場参加者が不動産の利用形態や価格形成に大きな役割を果たしていることから、市場参加者の視点、すなわち需要者の重視する要因を分析するということが重要になってきます。

また、短答式でも出てきそうですが、市場分析の結果は、鑑定評価の手法の適用、試算価格又は試算賃料の調整等における各種の判断においても反映すべきということも書けるようになっておきましょう。

個別分析

不動産の価格は、その不動産の最有効使用を前提として把握される価格を標準として形成されるものであるから、不動産の鑑定評価に当たっては、対象不動産の最有効使用を判定する必要がある。個別分析とは、対象不動産の個別的要因が対象不動産の利用形態と価格形成についてどのような影響力を持っているかを分析してその最有効使用を判定することをいう。 

個別分析については、確実な暗記が必要です。マストです。

最有効使用の判定にあたっての留意点

不動産の最有効使用の判定に当たっては、次の事項に留意すべきである。
(1)良識と通常の使用能力を持つ人が採用するであろうと考えられる使用方法であること。
(2)使用収益が将来相当の期間にわたって持続し得る使用方法であること。
(3)効用を十分に発揮し得る時点が予測し得ない将来でないこと。
(4)個々の不動産の最有効使用は、一般に近隣地域の地域の特性の制約下にあるので、個別分析に当たっては、特に近隣地域に存する不動産の標準的使用との相互関係を明らかにし判定することが必要であるが、対象不動産の位置、規模、環境等によっては、標準的使用の用途と異なる用途の可能性が考えられるので、こうした場合には、それぞれの用途に対応した個別的要因の分析を行った上で 最有効使用を判定すること。
(5)価格形成要因は常に変動の過程にあることを踏まえ、特に価格形成に影響を与える地域要因の変動が客観的に予測される場合には、当該変動に伴い対象不動産の使用方法が変化する可能性があることを勘案して最有効使用を判定すること。

80%くらいは書けるようにしつつ、(1)~(5)の流れを押さえておくようにしてください。合格者もフルで書くのは厳しいと思いますが、(1)~(5)の順番と80%レベルでの書きっぷりは合格には必要です。

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