不動産鑑定士試験の合格答案の書き方を考えてみる(鑑定理論)

鑑定理論の論文対策といえば、ほとんどの方は「鑑定評価基準の暗記」と「過去問の読み込み」が中心となっているかと思います。

論文対策は何していましたか?と聞かれてることがありますが、正直、基準暗記して、過去問を読み込みが中心でしたが、一つだけ、差をつけることができたかなと思うのは、読まれることを想定した論文構成をきちんとしていたことぐらいですかね。

合格答案とは何かと考えた時に、戦略的には、採点する人である試験委員の方に、「答案見てくださいよ。私は問題の内容を理解して、きちんと書けていますよ」と、どれだけアピールできるかにかかっており、きちんとアピールできた答案が合格答案であると思っています。

試験委員の方は、たくさんの論文答案を採点しているはずなので、きちんとしたアピールをするためには、どれだけ形式的かつ論理的かつ無難な答案を作成できるかが、重要ポイントであると思います。

私が特に留意した答案作成のポイントをまとめてみます。

形式的な答案を書くためのポイント

読みやすい文字を書く

試験委員の方も人なので、汚い文字で書いているよりは、読みやすい文字のほうが印象が良いのは間違いないです。

時間がないのも分かりますが、少し意識して丁寧に書くだけで、読みやすさが違ってきます。鑑定理論は本当に時間がなくて慌ててしまうのも分かりますが、経済学・会計学は時間が余ってしまう方も多いはずです。読みやすい文字を意識して書くようにしましょう。

また、滲みやすいインクのボールペンや、太すぎたり、細すぎたりする文字も読みずらいものです。普通のボールペンで書きなれるようにしましょう。

主語・述語を意識する

仕事や友達とメールする時などは、主語と述語があっていないことや、主語と述語がねじれていることは少ないのに、論文試験になると、主語と述語の関係性が破綻してくることが多くなります。私も読み返すと、破綻したまま書き進めていることがあり、泣く泣く二重線の訂正の山になる音も多かったです。

主語と述語が破綻してしまうのは、暗記した基準をベースに文章を作ってしまうことが原因だと思います。

文章を書きなれている人は、最初から意識しなくても破綻せずに書けてしまいますが、どうしても答練中に主語と述語の関係性が破綻してしまうという人は、日頃から、基準を上手く活かしつつ、主語と述語を意識して答案構成をすることが重要となってきます。

誤字・脱字に注意する

気づかず間違うことが多いです。必ず読み返すようにしましょう。

私は、原価、減価、現価で、何度か間違っていました。

論理的な答案を書くためのポイント

上位概念から順番に書く

必ず上位概念を書いてから下位概念を書くように、順番にブレークダウンしていくのがおすすめです。おすすめというか、上位概念から書くようにしてください。

例えば「特定価格」の考え方が問われた場合です。

特定価格ということで、暗記した内容をすぐ書きたくなるかと思います。

「特定価格とは、市場性を有する不動産について、法令等による社会的要請を背景とする鑑定評価目的の下で、正常価格の前提となる諸条件を満たさないことにより正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離することとなる場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格をいう。」ですね。

ここで、特定価格を書く前に、特定価格の上位概念である「鑑定評価によって求める価格」を書くようにします。

「不動産の鑑定評価によって求める価格は、基本的には正常価格であるが、鑑定評価の依頼目的に対応した条件により限定価格、特定価格または特殊価格を求めることができる。依頼目的に対応した条件をふまえて価格の種類を適切に判断し、明確にすべきである。」

上位概念を全て書けなくてもよいので、鑑定評価によって求める価格は、正常価格、限定価格、特定価格、特殊価格があることをきちんと書いて、特定価格に流れていくのが、いきなり感はないです。

ただし、上位概念を長々と書いてしまうと、いわゆる頭でっかちなバランスの悪い感じがでてしまうため、注意が必要です。

基準を確実に暗記して書く

「鑑定評価基準」だけでなく「留意事項」も含みますが、これらの基準をきちんと引用して書けている答案は見栄えが断然に良いです。

この試験の合格を目指すためには当たり前ですが、基準の暗記を確実に行い、答案を作成するトレーニングを繰り返しましょう。

基準に関わる具体例を用意しておく

基準を引用して答案作成をすることに加えて、基準に関わる具体例を用意しておく必要があります。最近は、問題で具体的な説明を問うケースも増えていますが、基準の具体的な説明ができるように、具体例を用意しておくと、気分としては楽になります。

具体例については、確実な暗記というよりは、イメージを持てていれば、本番で何とか書けることが多いです。

コメント

  1. […] […]

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