不動産鑑定士受験者の減少
昨年、週刊ダイヤモンドで「不人気資格の不動産鑑定士が「穴場国家資格」に一変!?」という記事が掲載されました。
記事では、不動産鑑定士試験は、2016年の受験者数が10年前に比べて3分の1に激減してしまった不人気資格であるものの、大手鑑定士事務所では若手人材の獲得競争は激化していること。不動産鑑定士の大部分を占める高齢者の引退にともなって、今後穴場のねらい目国家資格に変わるのではないか。と述べられています。
短答試験・論文試験では数か所に受験生が集められるため、トイレも混んでるし、こんなに受験生っているんだっけと思っていましたが、受験生データを見ると確かに不動産鑑定士試験の受験者数は減少しています。平成18年の短答式受験者数は4,605名でしたが、平成27年には1,473名まで減少しています。ただ、4,605名が受験して最終合格者が94名の時代に比べると、1,473名が受験して100名が合格できるのは、受験生からしたら幸運な時代と言っていいかもしれませんが。
年 | 短答式 受験者 | 合格者 | 合格率 | 論文式 受験者 | 合格者 | 合格率 |
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H18 | 4,605名 | 1,106名 | 24.0% | 912名 | 94名 | 10.3% |
H19 | 3,519名 | 846名 | 24.0% | 1,164名 | 120名 | 10.3% |
H20 | 3,002人 | 678名 | 22.6% | 1,308名 | 132名 | 10.1% |
H21 | 2,835名 | 752名 | 26.5% | 1,230名 | 124名 | 10.1% |
H22 | 2,600名 | 705名 | 27.1% | 1,130名 | 106名 | 9.4% |
H23 | 2,171名 | 601名 | 27.7% | 1,038名 | 117名 | 11.3% |
H24 | 2,003名 | 616名 | 30.8% | 910名 | 104名 | 11.4% |
H25 | 1,827名 | 532名 | 29.1% | 812名 | 98名 | 12.1% |
H26 | 1,527名 | 461名 | 30.2% | 745名 | 84名 | 11.3% |
H27 | 1,473名 | 451名 | 30.6% | 706名 | 100名 | 14.2% |
H28 | 1,568名 | 511名 | 32.6% | 708名 | 103名 | 14.5% |
H29 | 1,613名 | 524名 | 32.5% | 733名 | 106名 | 14.5% |
H30 | 1,751名 | 584名 | 33.4% | 789名 | 117名 | 14.8% |
試験難易度と合格後の年収のつり合わなさ
合格しやすくなったとはいえ、受験者数が激減しているのは、試験難易度と合格後の年収ののつり合わなさが大きな要因だと思います。
不動産鑑定士の平均年収は850万くらいというデータがあります。私も受験生時代は、合格すると独立できるかもという気持ちは高まるけれども、本当に稼げるだろうか、合格してもこのまま企業勤めのほうが年収が高いのではという考えが常に頭のどこかにありました。
記事でも「鑑定士業界は大都市部に大手事務所が数社。ほか、大部分が3人以下の事務所。中小の場合、1事務所当たりの売り上げも年間700万円前後と少ない上、特に地方では公共事業の減少で苦しくなっている」と鑑定士事務所の運営者のかたも言っています。
試験が相当難しく、特に論文試験においてはかなりの時間をとられてしまい、数年は受験生活が続くかもしれない。にもかかわらず、見返りが少ないとなると、なかなか頑張って合格してみようと勉強を開始するのは難しいかもしれませんね。
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