「不動産鑑定士試験」の難易度は?「不動産鑑定士資格」は人生を豊かにしてくれる資格か?

不動産鑑定士とは

不動産鑑定士は、司法試験、公認会計士と並び、三大国家資格と呼ばれています。土地や建物という不動産を鑑定評価する業務は、不動産鑑定士の独占業務となっています。そのため資格を持っていないとは不動産の鑑定評価を行う事はできません。

私が「不動産鑑定士」の最大のメリットと考えるのは、人生の選択肢が増えることです。何といっても、鑑定士としての営業能力と鑑定能力に収入は左右されるものの、独立開業が可能であることです。また、地価公示法に基づく標準地(毎年1月1日時点)及び国土利用計画法に基づく基準地(毎年7月1日時点)の鑑定評価等の公的鑑定評価の仕事が取れるようになれば、安定した収入が期待できます。

不動産鑑定士は、全国にわずか約1万人しかいない、稀少価値も高い資格です。しかも、高齢とはいかないまでも年配の鑑定士の方が多く、若い鑑定士の方にとっては世代交代のチャンスが到来するものと考えています。

資格を取得して不動産鑑定士となると、勤務条件は非常に良いです。主な勤務先となる不産鑑定事務所においては、一般的な企業と比較しても残業がほとんどなく、年功序列の側面が強いため、勤務年数に応じて年収が増えていく傾向にあります。無理をせず安定的に収入を稼ぎたい人や、自分の時間や家族との時間を確保したい人にもおすすめの資格といえます。

不動産鑑定士になることができれば、年収・ステータスに加え、独立できる可能性も高く、人生におけるワークライフバランスを実現できる面からも、人生を豊かにしてくれる魅力のある資格だといえます。

不動産鑑定士の年収は?就職・転職に非常に有利な資格か?

周りの鑑定士を見てて確信をもって言えることは、年収にこだわらなければ、就職先に困ることはありません。国家資格なので当たり前ですが、言い切れます。

就職先は、鑑定評価を業務とする不動産鑑定事務所はもちろん、不動産コンサル会社、銀行・保険などの金融機関、証券会社、鉄道会社など、活躍先は多岐にわたります。高額報酬が期待できる外資系金融機関で活躍する不動産鑑定士もいます。

年収は勤務する会社に依存するため一概に言えませんが、仮に銀行・保険などの金融機関や証券会社に鑑定士として就職すると、他の社員と同様の給与制度となりますが、いわゆる役付以上(課長補佐・課長以上)となれば、年収1,000万円付近には到達します。

直近の不動産鑑定士の就職状況を考えると、不動産鑑定士の高齢化や、不動産取引の活発化に伴い、不動産鑑定士の獲得競争が激しくなってきており、完全な売り手市場になっています。最近では、不動産鑑定士の論文試会場だけでなく、短答式試験会場においても、大手不動産鑑定事務所が就職案内のチラシを配るなど、以前なら考えられない状況となっております。

30歳未満ならもちろん30歳~50歳でも、不動産鑑定士は転職・就職に非常に有利な資格といえます。

地方での独立開業は難しく、数年の下積みは覚悟したほうがよい

資格スクールの案内冊子で大きなメリットとして語られるのが、不動産鑑定士は地方公共団体からの公的評価依頼があるため地方でも開業しやすいということですが、私の感覚では、新規で参入する場合は大変厳しいのが現状です。

鑑定評価の依頼は、正直いって、実績のある不動産鑑定事務所にしかきません。地方では地元密着で個人経営の不動産鑑定事務所を営んでいる方が多く、定年もないため、鑑定評価依頼先が固定化されています。本気で地方で個人事務所を開業する場合は、数年は食っていくのがやっとという下積みの期間が必要となることを覚悟したほうがよいです。

不動産鑑定士の試験概要

受験資格:誰でも受験可能です。

受験料:13,000円

試験日:(短答式試験)5月中旬 (論文試験)8月上旬の3日間

不動産鑑定士試験は、5月に短答式試験、8月に論文式試験があります。短答式試験は誰でも受験可能ですが、論文式試験は短答式試験に合格して初めて受験可能となります。

5月の短答式試験に一度合格すると、同年8月の論文試験だけでなく、翌年8月の論文試験、翌々年8月の論文試験と、合計3回の受験が可能となります。ただし、その3回の期間内に論文式試験に合格しないと、再度、短答式試験からやり直しとなります。

毎年ですが、8月の猛暑の期間が論文試験になります。論文試験の受験生活が長くなると、東京受験生ですと、真夏の思い出が試験会場である「TOC有明」か「TOC五反田」となってしまうので注意が必要です。

短答式試験の合格率、難易度

短答式試験(択一試験)の合格率は年々上昇しており、30%~35%です。総合的にみて、短答式試験の難易度は、宅建士試験と同レベルかそれ以上です。

短答試験だけを考えると、そこまでの学習テクニックも不要で、過去問を何度か繰り返すと勝負できるレベルに達することができることと、大型国家試験のなかでも一次試験の合格率の高さを考えると、短答式試験は易しい部類の試験にみえます。

ただし、論文試験を見据えて相当な覚悟で勉強してくる人、国家試験であるため自分の能力に自信がある人が受験する傾向があり、短答式試験であっても受験者レベルは高いです。

論文式試験の合格率、難易度

論文式試験の合格率も年々上昇しており、約15%です。

論文式試験の科目は、鑑定評価理論・民法・経済学・会計学の論文と、鑑定評価理論の演習問題になります。短答式試験で比べて、一気にハイレベルな競争になります。

鑑定評価理論の論文は2時間×2回の合計4時間、民法・経済学・会計学の論文は各2時間、不動産鑑定評価理論の演習は2時間と、8月上旬の3日間で合計12時間行われます。ちなみに、試験時間だけでみると過酷な試験だなと思われると思いますが、合格レベルに近づいていくと、この3日間があっという間に終わってしまいます。

鑑定評価理論の論文試験は、鑑定評価基準を相当な精度で暗記して、論点を見極めたうえで論文構成を行い、取りこぼしなく記載していく必要があります。鑑定評価理論以外の教養科目(民法・経済学・会計学)についても、問題レベルは司法試験・公認会計士並みのハイレベルな問題が出題されます。

でも、安心してください。これらは問題レベルが高いだけであり、平均点が30点の時もあります。周りの受験生もほとんど解けなかったりします。合格者もこれらを完璧に解けることはありません。

平成30年(2018年)論文試験の結果

平成30年の論文試験は、600満点中376点以上が合格となっております。

科目別結果、総合結果は以下のとおりです。

<科目別結果>

・民 法(配点100) 平均点 43.4 点

・経済学(配点100) 平均点 36.8 点

・会計学(配点100) 平均点 54.4 点

・不動産の鑑定評価に関する理論(配点300) 平均点 131.8 点

<総合結果 >

平均点 266点

合格点 376点

最高点 494 点

受験対策

一般的な方の学習としては、資格学校(TACかLEC)に通って、試験対策するのが近道です。費用は20万~40万円。受講期間は2年から3年くらいが目安となります。

不動産鑑定評価基準を暗記できるかどうかが、試験合格の最大ポイントになりますが、全ての暗記が必要なわけではありません。このブログで勉強方法を語り続けていきたいと思っておりますので参考にしてください。

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